- この記事の企画
- 地域が抱えるさまざまな課題をテーマとして取り上げ、先進事例や調査結果、各種データなどを通して「豊かな地域社会」につながる提言を発信します。
Ⅱ.山形県内企業の採用に関する実態調査の結果概要
■ 調査概要
<調査方法>
山形県就職情報サイト掲載企業の県内事業所を対象にして、350事業所を抽出し、郵送アンケートを実施。また、アンケート回答内容の詳細を聞き取るため、回答事業所の一部を対象にインタビュー調査を実施。
調査対象事業所数:350 回答事業所数:254(回答率72.6%)
インタビュー調査実施事業所数:23
<調査時期>
2021年7月~2022年3月
<実施機関>
株式会社フィデア情報総研(山形県委託)
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調査結果(概要)は、山形県ホームページにおいて公表されており、以下のⅡ-1~6は、当該資料に基づくものである(参照:当レポート末尾【参考文献・資料】)。
Ⅱ-1.採用の現状
Q.直近3ヶ年(2020年度~2022年度[2])の正社員の採用人数について教えてください。また、「新卒(大学・大学院)」の採用実績があるとお答えの事業所は、採用計画等も教えてください。
- 2020年度~2022年度までの3年間で、大学新卒者の採用実績のある事業所は61.4%(156事業所)であった。また、採用には至らなかったが募集をしている事業所は22.8%(58事業所)であり、合わせると大学新卒者を募集している事業所は84.2%となっている(図表4)。
- 大学新卒者の採用人数は合計で1,302人(1年あたり434人)であり、高校新卒などを含めた採用人数全体に占める割合は22.1%である(図表5)。
- 大学新卒者の採用計画については、計画(募集)人数は2,029人であり、これに対し採用できた人数は1,047人で、充足率は51.6%であった(図表6)。
[2] 2022年度は、採用見込み(内々定・内定)の人数
図表4~6(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
Ⅱ-2.大学新卒者の採用活動
(1) 現在実施している情報提供方法・手段
Q.大学新卒者の採用活動で行っている周知や情報発信等の方法・手段を教えてください。このうち、特に有効だったと考えているものも教えてください。
- 情報提供方法・手段について、採用実績の有無別にみると、採用実績のある事業所では、採用実績のない事業所に比べ「民間の就職情報サイト」「大学主催の企業説明会」「Webでの自社説明会」を実施している割合が高い(図表7)。
- 特に有効だった方法・手段としては「民間の就職情報サイト」「大学主催の企業説明会」と回答する割合が高い(図表8)。
図表7~8(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
(2) 学生に対して実施していること
Q.採用活動時において学生に対して実施していることを教えてください。
- 採用活動時に学生に対して実施していることについて採用実績の有無別にみると、採用実績のある事業所では、採用実績のない事業所に比べ、「若手社員と話をする機会」「社風や自社の価値観の説明」「中堅社員と話をする機会」を実施している割合が高い(図表9)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
Ⅱ-3.大学新卒者の採用方針
(1) 採用にあたり重視するポイント
Q.大学新卒者の採用にあたり、重視しているポイントについて教えてください。
- 採用にあたり重視するポイントは、「コミュニケーション能力」「素直さなどの人柄」などの割合が高い(図表10)。
- 採用実績の有無別でみると、採用実績のある事業所では「入社への熱意や意欲」「社風とのマッチング」の割合が高いのに対し、採用実績のない事業所では「専門知識・スキル」を選ぶ割合が高い(図表10)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
(2) 新卒(大学・大学院)採用の今後の意向
Q.大学新卒者の採用(募集)について、今後の意向をお聞かせください。
- 今後の意向について、現在大学新卒者を募集している事業所は「変わらない」(採用継続)と「増やしたい」を合わせると94.4%となり、現在募集していない事業所も45.0%が「今後は募集してみたい」と回答している(図表11)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
Ⅱ-4.大学新卒者の採用効果
Q.大学新卒者を採用してみて、実際の効果や良い影響はありましたか。また、「ある」と回答の方は、全般的、傾向的にみた評価をお聞かせください。
- 大学新卒者の採用実績がある事業所のうち、80.1%が「(採用してみて)実際の効果や良い影響があった」と回答している(図表12)。
- 大学新卒者の評価について、「業務の習得が早い」「仕事へのモチベーションが高く、積極的な姿勢で取り組む」「仕事上の課題や問題を明確に捉え、解決する能力が高い」と回答する割合が高い(図表13)。
図表12~13(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
Ⅱ-5.給与・福利厚生
(1) 平均給与・初任給
Q.正社員、正職員の平均給与(年額、平均給料・手当・賞与の合計)、初任給(月額)について教えてください。
- 平均給与は「300万円~400万円未満」の割合が最も高い。採用実績の有無別でみると、差は大きくないが、採用実績のある事業所の方が高額となる割合が高い(図表14)。
- 大学新卒者の初任給は、採用実績のある事業所で「200千円~210千円」の割合が最も高いのに対し、採用実績のない事業所では「180千円未満」の割合が最も高い(図表15)。・地理的条件について、「首都圏より東北や県内への志向が強まった」
図表14~15(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
(2) 賃上げのために必要な施策
Q.初任給を含め、賃上げのために必要な施策についてご意見をお聞かせください。
- 賃上げのために必要な施策は「能力評価や人事評価制度などを整備し、年功序列や定期昇給のみによらない社内の賃金制度を設けること」への支援と回答する割合が最も高く、以下「生産性・収益力向上の取組み」「設備投資・IT投資等」への支援となっている(図表16)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
(3) 福利厚生
Q.福利厚生などの対応状況について教えてください。
- 福利厚生制度の設定状況については、ほとんどの項目で採用実績のある事業所の方が採用実績のない事業所に比べ、制度を設けている割合が高い(図表17)。
- 差の大きい項目は、「住宅補助手当」(18.5ポイント)、「転勤手当」(14.6ポイント)、「特別休暇(結婚等)」(14.4ポイント)、「育児目的休暇」(14.2ポイント)、「新入社員研修」(18.0ポイント)、「福利厚生施設」(14.9ポイント)などである(図表17)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
(4) 福利厚生などの就業条件改善のために有効な支援
Q.福利厚生などの就業条件の改善に有効な支援があれば教えてください。
- 就業条件改善のために有効な支援は「改善の取組みに関するマニュアルや好事例集など情報・ノウハウ提供」と回答する割合が最も高い(図表18)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
Ⅱ-6.大学新卒者の採用増加等に向けて
(1) 大学新卒者の採用増加に有効な方策
Q.大学新卒者の採用を増やすために有効な方策についてご意見をお聞かせください。
(対象:採用実績あり/採用実績なし・募集ありの事業所)
- 大学新卒者の採用増加に向けて必要なことは、現在採用活動を行っている事業所では、「地方の企業を大学生に紹介するサイト」「大学によるキャリア教育・就職支援」「賃金等の確保・引き上げ」などを選択する割合が高い(図表19)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」
(2) 大学新卒者を新たに採用するのに必要なこと
Q.大学新卒者を新たに募集、採用するために必要だと思うことを教えてください。
(対象:採用実績なし・募集なしの事業所)
- 現在大学新卒者を募集していない事業所が採用を開始するために必要なことは、「自社の業績向上などにより、人件費等の増加に対応できること」「大学新卒者の採用効果について具体的なイメージを持てること」「採用後の育成方法等のノウハウがあること」を選択する割合が高い(図表20)。
(資料)山形県ホームページ「若者の定着・回帰の促進に向けた施策の展開方向について | 山形県」