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出羽国・タイ王国 交流記

タイ王国との学術交流で教育研究の架け橋に

本校とタイ王国との学術交流の歴史は長く、2011年に独立行政法人国立高等専門学校機構(以降、高専機構本部)と包括協定締結しているKMITL(モンクット王工科大学ラートクラバン校)や2014年9月に学術交流協定を締結した泰日工業大学と、食文化の違いやコミュニケーションの壁を乗り越えながら、学生の相互交換留学、教員の受け入れ・派遣を実施してきた。具体的には、過去10年間でタイ人学生の受け入れ29名、本校学生の派遣12名、タイ人教員の受け入れ3名、本校教員の派遣12名である。また、希望する4年次学生10数名を引率して、KMITL、泰日工業大学や地域企業の紹介でタイ現地法人の工場見学を実施してきた。

最近では、2019年5月に岡谷鋼機株式会社のタイ王国現地法人・タイ岡谷鋼機の紹介でチェンマイに所在するラジャマンガラ工科大学ランナー校と学術交流協定を締結した。協定締結式に本校教員5名が参加し、その後、教員、学生を対象に全国の高専間連携で開発した教材としても活用可能な低価格な気象センサーシステム「KOSEN版ウェザーステーション」の研修会を実施した。

ラジャマンガラ大学での研修会の様子

その後の学術連携として、ミャンマー国境のターク県メンソート郡で栽培される「こんにゃく芋」の有効利用やスマート農業化について共同で現地調査を実施している。また、2020年度にはJSTさくらサイエンスプランに「日本における最先端農業ICTの体験と交流」のテーマで採択され、2021年3月にWebミニシンポジウムを実施し、教員と学生が相互交流している。

2021年3月のWebミニシンポジウム

なお、2019年5月に「日本型高等専門学校の教育制度(KOSEN)」を本格的に導入したタイ王国初の高専(KOSEN-KMITL)が開校し、2020年6月には2校目の高専(KOSEN KMUTT)が開校した。高専機構本部は、円借款事業に基づく教育サービス提供者として、上記2校のタイ高専の設置運営支援のため、日本の高専教員を派遣し、現地のタイ人教員への指導・研修を行っている。本校は、タイ高専のプロジェクト推進校として、2023年度以降に日本への学生受け入れを予定している。

今後もタイ王国の学術教育機関との連携を強化し、タイ友好協会や地域企業、県民の皆さまのご協力を頂きながら留学生に日本文化を紹介し、共に教育研究の架け橋となり人材育成に努めていきたい。

この記事を書いた人

(独)国立高等専門学校機構 鶴岡工業高等専門学校

教授神田 和也

1963年、新潟県新発田市生まれ。大学卒業後、食品会社勤務を経て、2004年より独立行政法人国立高等専門学校機構 鶴岡工業高等専門学校に着任。2011年4月教授に、その後、情報広報室長、国際交流支援室長、副校長等を歴任。

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